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Information 【編集部ノート】「MUNASHI」を繰り返し聴いて見えてきたこと ──20分のEPと1ヶ月の対話
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【編集部ノート】「MUNASHI」を繰り返し聴いて見えてきたこと ──20分のEPと1ヶ月の対話

The DARARSの新EP「MUNASHI」を、本日ちょうど1ヶ月、繰り返し聴いてきた。音源公開日の3月16日から数えて、延べ何十回聴いたかは分からない。通勤、作業中、深夜──生活のあらゆる場面で、この20分弱の4曲を流してきた。そこで見えてきたことを、整理してみたい。

※本稿は編集部員の個人的な聴取体験に基づくエッセイ的な記事です。

最初の印象

初回の通し聴きで最も強く感じたのは、「派手じゃない」ということだった。15年ぶりの復活作と聞いて身構えて聴いたが、全体に抑制の効いた音像で、聴き手を突き放すような過激さはない。

これが物足りなさとして作用するかと言うと、必ずしもそうではない。派手ではないが、退屈でもない。細部をよく聴くと仕込みが多く、その仕込みを発見していく過程で少しずつ曲への理解が深まっていく。

繰り返し聴きで見えてくるもの

20分のEPだから、1日に何度も通して聴くことが物理的に可能だ。仕事中のBGMとして3回、帰宅後に2回、寝る前に1回──という聴き方を1週間続けただけで、相当な回数になる。

回数を重ねるごとに、見えてくるものが変わっていく。

5回目まで: 各曲の輪郭、メロディ、全体の流れを把握する段階。

10回目まで: 特に気に入った曲ができてくる。「Nice Lunch!!」のリフが耳に残る、「ダウジング」の歌詞が気になる、といった個別の反応が生まれる。

20回目まで: 気に入った曲以外の曲の良さも見え始める。「bank3」の低音、「newscrap」のテクスチャーといった、最初は埋もれていた要素が立ち上がってくる。

30回目以降: 曲同士の関係性が見えてくる。「Nice Lunch!!」→「bank3」の色調変化、「ダウジング」の静けさがEP後半のflowに与える効果。

特に変化した認識

繰り返し聴く中で、最も認識が変わった曲は「newscrap」だ。初回は「実験的で取っつきにくい」と感じた曲が、10回目以降「むしろEPの核心」だと思うようになった。

反復の中の微差。音程が曖昧なのに音楽として成立する質感。4分の中でゆるやかに変容するテクスチャ──これらは、1回聴いただけでは見えない設計だ。繰り返し聴くことで、この曲が持っている持続と変化の美学がようやく分かる。

逆に、最初に強く惹かれた「Nice Lunch!!」は、何度聴いても「良い曲」ではあるのだが、最初の衝撃ほどの深みは感じない。シンプルで分かりやすい故に、1回目の印象が強く、そこから深まる余地が相対的に小さい。

曲ごとの「聴くタイミング」

1ヶ月聴いていると、それぞれの曲に「似合うタイミング」があることが分かってくる。

  • Nice Lunch!!: 朝の通勤、少しテンションを上げたい時
  • bank3: 夜の作業、集中を深めたい時
  • ダウジング: 深夜、静かな時間に
  • newscrap: 長い作業のBGM、背景としてずっと流したい時

EPの通し聴きでも4曲それぞれが役を果たすが、単曲で聴く時の適性は、曲ごとに明らかに異なる。この「聴くタイミングの多様性」も、4曲で構成されたEPの強みだ。

公式の制作背景との照合

メンバーインタビューで語られる「反復するけど同じではない」という美学(平井インタビュー参照)や、リモート中心の制作環境は、繰り返し聴いたあとに読むと、納得感が深まる。

具体的なリフの仕組みやミックスの判断が言語化された情報に触れると、「そうか、自分が感じていた気持ちよさはこの設計から来ていたのか」と納得できる。音楽は言葉にできない部分が核にあるが、その周辺を言葉で補強する情報は、聴取体験を豊かにする。

1ヶ月経った今の結論

EP「MUNASHI」は、4曲20分という短さの中に、長く聴き続ける価値のある密度を持った作品だ。派手さはないが、注意深く聴く価値のある細部が豊富に仕込まれている。

本当にいい作品は、初回の衝撃よりも、繰り返し聴いたときの耐久力で評価される。その基準で見れば、「MUNASHI」は合格以上の作品だ。これから先、この4曲と付き合う日々はまだまだ続きそうだ。

読者のみなさまへ

もしまだ1回しか聴いていない方がいたら、ぜひもう数回、違うタイミングで聴き直してみてほしい。同じ音源が、違う景色を見せてくれるはずだ。公式サイトから配信リンクにアクセスできる。