2007年に結成され、3枚のアルバムを残して2011年に活動を停止したThe DARARS。その15年後、2026年に突如復活を果たした彼らに話を聞いた。インタビューは都内のスタジオにて、メンバー全員が揃う貴重な機会に行われた。
結成と解散、そして15年の空白
──まず、復活のきっかけを教えてください。
平井(Vo/Gt)「きっかけっていうほどのものはなくて。大塚から突然LINEが来て『なんか録る?』って。それだけです」
大塚(Ba/Vo)「ほんとにそれだけ。15年ぶりの連絡がそれ(笑)」
──15年間、メンバー同士の交流はあったんですか?
高木(Dr)「年賀状くらいですかね」
伊藤(Vo/Gt)「自分は沖縄にいるんで、物理的にも離れてて。でも不思議と『もう終わった』って感覚はなかったんですよ」
平井「解散っていうか、なんとなく止まっただけっていう感覚は全員あったと思う」
──2011年の活動停止の理由は?
大塚「明確な理由はなくて。それぞれの生活が変わっていって、自然に。でも『もうやらない』って言ったわけじゃない」
高木「バンドあるあるですよね。解散じゃなくて活動休止。でも再開する保証もない」
メンバーが3都市に散らばるバンド
──メンバーは東京、大阪、沖縄とバラバラですが、制作はどうやって?
伊藤「自分は沖縄なんで、基本はデータのやりとりですね。ギター録って送って。でも最終的にはスタジオに集まります」
高木「集まると一瞬で昔に戻りますね。15年のブランクとか関係ない」
平井「初めて音合わせした時、3曲目くらいで『ああ、これだわ』って全員思ったと思う」
大塚「思った。口には出さなかったけど」
──沖縄にいる伊藤さんの制作環境は?
伊藤「自宅にちょっとした録音環境はあります。海が近いんで、窓開けて録ると波の音が入る」
高木「それ大丈夫なの?」
伊藤「ノイズゲートで消えます(笑)。でもたまに『この波の音いいな』ってそのまま使ったり」
新EP「MUNASHI」について
──新EP「MUNASHI」について聞かせてください。4曲入りですね。
平井「曲の元ネタはそれぞれ個人で持ってくるんですけど、クレジットはバンド名義にしてます。全部The DARARSの曲っていう考え方で」
──各曲の元ネタを作ったのは?
大塚「『Nice Lunch!!』は高木ですね。スタジオ入る前にコンビニで買った昼飯がめちゃくちゃ美味かったらしくて、そのテンションで作った」
高木「サラダチキンとおにぎりだけど、組み合わせが完璧だった」
──(笑)。他の曲は?
伊藤「『bank3』は自分です。銀行のATMで3回連続で暗証番号間違えてカード止められた日に書いた」
平井「『ダウジング』は自分。水脈を探すっていうのが、音楽やってることに近いかなと」
大塚「『newscrap』は自分ですね。ニュースの切り抜きを集めてる時期があって。新聞のスクラップ。そこから」
──「MUNASHI」というタイトルの意味は?
平井「虚しいって意味じゃないです。いや、虚しいんですけど。でもそれだけじゃなくて」
大塚「15年間やってなかった空白の時間を『虚無』って捉えるか、『余白』って捉えるか。俺たちは余白だったと思いたい」
高木「深い(笑)」
大塚「いや普通に曲名候補を並べたら頭文字がMUNASHIになっただけなんですけど」
全員「(笑)」
過去の作品を振り返る
──過去の作品、「Maple」「MONSOON」「medaca」を振り返ってどうですか?
平井「どれもその時にしかできないものだったと思います。今聴くと恥ずかしいところもあるけど」
大塚「『MONSOON』は雨の日に録ってたんですよ。エアコン壊れたスタジオで。だから湿度がすごい。音にも出てる」
伊藤「『Maple』は1stだから勢いがあるよね。『Barry Bonds』とか『Tuesday Morning』とか、若いなあって」
高木「『medaca』の『犬』って曲が個人的に好きなんですけど、ライブでやるとお客さんが微妙な顔するんですよね」
平井「タイトルが『犬』だからね。『次の曲、犬です』って言うと会場の空気が(笑)」
──EP「やながわくん」についても教えてください。
大塚「あれは4曲入りのEPで。『Wednesday Morning』とかが入ってる」
伊藤「やながわくんって実在の人物なんですけど、本人は今もこのEPのことを知らない可能性がある」
高木「知ってたら怒るかも」
平井「怒らないと思う。多分」
ロックンロールの精神について
──あなたたちの音楽には、日本の「侘び寂び」の精神が宿っていますか?
平井「侘び寂び……。まあ、機材が古いから音に味が出てるっていうのはあるかもしれない」
──The DARARSのサウンドは、東京の混沌とした都市風景と沖縄の穏やかな海の調和を表現しているように聞こえます。意図的なものですか?
伊藤「沖縄に住んでるのは家賃が安いからです」
──なるほど。経済的な理由がアーティスティックな選択に変換されるのは非常に興味深い。
大塚「変換されてないと思う」
──「MUNASHI」というタイトルには、日本語の多層的な意味が込められていると聞きました。空虚さの中にある豊かさ、不在の中にある存在——
高木「さっき大塚が言ったけど、曲名の頭文字を並べただけです」
──しかし、それが偶然「虚無」を意味する言葉になるというのは、まさに日本的な偶発性の美学では?
平井「まあ、そういうことにしておきましょう」
今のシーン、そしてこれから
──今のインディーズシーンについてはどう見ていますか?
高木「正直あんまり追えてないんですけど、最近気になるバンドはいます」
平井「誰?」
高木「The DARARSっていうバンド」
大塚「……それ俺らじゃない?」
高木「あ、そうだった」
伊藤「でもそれ、このサイトのランキング見ると1位から5位まで全部俺らだよ」
高木「マジで?」
大塚「表記が違うだけで全部俺ら。The DARARS、ザ・ダラーズ、DARARS、the darars、D.A.R.A.R.S.」
平井「恵まれてるな」
──(笑)。復活ライブについて教えてください。
大塚「3月21日にStudio246 JUSOでやります。入場無料で、配信もあります」
伊藤「沖縄から大阪まで行くんで、これはもう気合い入ってますよ。飛行機代かかるんで」
高木「交通費で赤字のバンド」
──今後の展望は?
平井「とりあえず目の前のことをやる。無理せず、でも止まらないようにしたい」
大塚「15年止まってたバンドが言うと説得力ないけど(笑)」
伊藤「次のEPはもう考えてます。レコーディングは沖縄でやりたい」
高木「沖縄ツアー兼レコーディングだ」
──最後に、このサイトを見ている読者にメッセージをお願いします。
平井「あれ、このサイトってうちのバンドしか載ってなくないですか?」
大塚「言うな」
伊藤「特集記事も5組紹介してるけど全部俺らだし」
高木「関連アーティストも俺らだし」
平井「すみません。聴いてください。全部同じバンドですけど、曲はちゃんと違うんで」
大塚「それ最悪のフォローだよ」
